岩石生命圏の理解とアストロバイオロジーへの展開

現在の地球に存在する生命のほぼすべて(推定99.97%以上)は、太陽エネルギーに支えられています。これは、光の届く表層に限ったことではなく、光合成によって生成された有機物や酸素が流れ込むことで、暗黒の地下生命圏をも支えています。一方で、光合成が誕生する以前は、生命は主に化学エネルギーを利用していたと考えられますが、現地球において光合成に依存しない微生物生態系の実態を解明することは困難です。

そこで私たちは、光合成以前の初期的な生命代謝の制約や駆動力を明らかにするため、光合成の影響が限定的だと考えられる「岩石生命圏」に着目し、岩石圏から生命圏へのエネルギーのフローと、それを受け取ることが可能な微生物代謝の双方向の研究を進めています。実在する岩石生命圏における知見に基づき、これまで、熱力学的観点から論じられることの多かった生命生息可能環境に関し、フィールドワークによる調査を行うことで解像度を高め、岩石圏が駆動し、制約する生命圏の実態を明らかにしています。

これらの理解は、光合成誕生以前の微生物のエネルギー代謝のみならず、他の岩石惑星におけるハビタビリティーにも視座を与えます。また、宇宙におけるアストロバイオロジー探査を可能とする小型で、高性能な科学機器開発も行っています。

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